海外派遣事業―鈴木基真さんのブラジルレポート:美術紀行1週目

2020.3.11.水曜日

*時系列でお伝えします

1日目:(到着当日)
朝到着後、昼まで寝てました。その後サンドラのスタジオで昼食後、スタジオの様子をみさせてもらいました。
ちょうど次のパブリックアートのプレゼンための模型作りをアシスタントに指示しているところでした。
意見を求められたので素直に精度が低いと伝えました笑(後日改善してました)
改めて日本の建築模型とその部材の出来の良さを痛感しました。
2日目:
サンドラに付き添って仕事をみさせてもらいました。
この日は次の展覧会会場のItau Culturalの視察とその為の広報用の映像とインタビューの撮影現場を拝見しました。
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ドローイング映像を撮影するサンドラ。緊張しています。紙を固定して描くのも初の試みとのこと。

(ACAC注:ここで撮影された動画はこちら!>>https://www.youtube.com/watch?v=ToIPfqN6lJ0

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円状の壁内にドローイングを描いていくとのこと。右側は使用する台座。なぜか一本だけ装飾が施されているが、本人は分からないとのこと。プロデューサーのアートじゃない?と言ってました。
この他にも広いフロアをもう一つ使う様で、興奮して「やべー!」とかいいながらハイタッチしました。可愛らしい人です。
サンドラの収録の合間にCasa Das Rosasを見学。

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こんな展示をしていました
詩とその世界を表現した展覧会の様で、それを芭蕉になぞらえて構成したものとなっている様です。
このジャンルの名前忘れてしまいましたが、言い回しや文字組などがかなり文脈化されており、ブラジルではても伝統的で重要なものの様です。後で資料集めたいと思います。
ちなみにこの古い館はフランス式のバラの庭が有名な様でしたが残念ながら1輪も咲いていませんでした。

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その横の銀行の建物の周りをデザインしたとても有名なアーティストも教えてもらいました。(名前覚えられず笑)
ポルトガルの伝統的な敷石と独創的なパターン、そこにブラジルの植生を組み合わせた作品になっていて特に植生はブラジルに5つくらいもある(海岸~山岳)植物の分布帯をうまく表現するものになっているそうです。
今庭に興味があるので萌えました笑
敷石はサンドラが次のパブリックアートのプランに使うそうです。

Itau Culturalに戻り、サンドラのインタビュー収録を待つ間、ここの常設展示であるブラジルの歴史展示を見学しました。
ここには膨大な量のブラジルの文化の組成資料が展示されていて、まずブラジルの文化を知るにはいい場所です。
ヨーロッパの国々が中世、どの様に植民地化を進めてきたのかが詳細な資料と共に展示されています。
ここでは主にポルトガルからもたらされた生活と、ネイティブインディオ達との関係が展示されており、その後のアフロアメリカンの奴隷政策や日本からの移民政策は展示されていません。(どこか別の場所で見たいです)

3日目:

川俣正展をしていました。割り箸を使った造形物。開発によって燃やされ続けているアマゾンの森に対する何某なのかなと笑
ここの施設のしつらえとういうか発信の在り方が完全に海外向けの輸出仕様でなんか笑えました。
この週、ブラジルにも新型肺炎が確認されたためか、ここにいるお客さん達はしきりと手や喉を消毒してました。完全に日本警戒されている模様
4日目:

今回の目玉、MASPに行ってきました。
世界3位とも言われる世界有数のコレクションがすごいです。
大戦時に割と平和だったブラジルの新聞王がヨーロッパ中から買い集めた有名どころを見ることができます。
奇抜なガラス板を壁とする奇抜な展示方法が目に付きます。
古代から現代まで1空間に並べられていて、とても見やすく美術の変遷を辿ることができます。
面白いのは1列中に必ずブラジル出身の画家や現代アーティストが入っているところ。モネやルノアールの横にあったりします。それ以前の宗教画の横にもブラジルで書かれた宗教画(キリスト教)があります。
そして唐突に古代の美術にインスパイアされた現代美術の作家が古代の列に作品展示していたりしています。
ブラジル美術を歴史に位置付ける戦略が垣間みえて力強いキュレーションだと思いました。
更に面白かったのは現代の列に入るとこの美術館の外観を描いたりしたコミッションワーク的なものも入ってきます。この場所を特別な場所としようという戦略さえ見えてきます。
現代に入るとここでもやはり政治的、社会的な作品が目立ちました。
私個人的には付随する美術的な文脈の最も希薄な壺などの陶器類が良かったです。風土や生活が最も色濃く反映されている気がしました。立体造形のヒントがここにあるかもしれないと強く思いました。

下の階ではGEGOというアーティストの展示、
更に下の階ではLEONOR ANTUNESというアーティスト、
更に更に下の階ではANNA BELLA GEIGERというブラジル現代美術界のコンセプチュアルアートの先駆者的な人の展示が行われていました。
ANNA BELLA GEIGERは人種の問題を通してブラジルの正体を浮き彫りにした様な作品を作る人だったので勉強になりました。
この3人は女性作家で、ブラジルでも今女性作家の再評価の動きが活発な様です。

5日目:

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INSTITUTO TOMIE OTAKEに行きました。
無料エリアでMARIANA PALMA
有料エリアで村上隆を開催中でした。

ここの展示ほんとーによかった。
どちらもちゃんと造形にこだわっている。MARIANA PALMAはブラジルの植物を通して自分のパーソナリティーを出しているし、村上さんは言わずもがな。村上さんは造形面でも以前より進化している。画面の凹凸を作り出して前後感を問う様な絵画の構造をフルに活用している。パネルの継ぎ目など、図は同じなのに塗りを変えたりして仕掛けがたくさんある。
アーティストらしき若者が絵を前にして描き方を激論していた笑。

ここまでの雑感:
日本を発つ前にスタジオメンバーにむけた自己紹介文を考えてきました。ここで何をしたいかまで含めて。
ですが、それは考え直さなければならないと感じ始めています、幸いスタジオメンバーが全員出張中なのでまだ自己紹介していませんので助かりました。
もう美術の定義なんて誰もできないと思っていましたが、想像を遥かに超えていた。もう美大で得た知識も、その後日本国内で培ってきた思考も全く役に立ちそうもないです(世界で評価されるには)。共通言語(美術史的な)ではもはや世界の美術は語れない様な気がします。超多層的な業界構造の中で各々がそれぞれの意思を表明
している状態とも言うべきか、、、。アーティストとしてはやりたい放題だからいい時代かもしれませんが、歴史化を考える立場の人は大変だーとか思ってみたり、、、。
ここ10年ぐらいで美術の状況も大きく変わりました。アーティスト側も気遅れしちゃいそうな状況なんですが、「選べ」ば良いんですよね。多分。自分のできることとできないこと、捨てられることと捨てられないこと。すみませんまだはっきりとは言葉にできませんが、、、。
川俣さんは日本的なことを捨て、どの国でも受け入れられる作品を作った。造形的には何も面白さを感じませんが笑
村上さんは日本的なものをどう世界に受け入れられるかを考えた。
国を意識するならそのような選択は明確にしていかなければなりません。
今のところ心に思っていることは、今の自分の美術の根幹となるのは西洋美術との相対で語られてきた日本美術であり、やはりそれが重要なことで、日本という場所は捨てられません。そしてその一部分として造形へのこだわりがあります。
そして、今後それを共通言語の要らない世界へ押し出すときに必要なのは、逆に意味も目的もない「形」として成立している状態を目指すことだと思っています。ただ存在だけがそこにある。
何もないところに火が立つ様な、
母親が電話をしながら広告の裏にかいた文様の様な、
そんな感じで作品を作れたらいいなと言うのが私の彫刻論です。難しいですが、、、。
と言うことで、リサーチだけの予定だけでしたが0から何かこそっと作ろうかなと思い始めました。
ビシビシ刺激を受ける毎日です!感謝です!
スタジオメンバーが戻ってきたらたくさん話しをしてみたいと思います!
ではまた!

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