いのちの裂け目ー布が描き出す近代、青森から

2020年5月7日(木)~8月30日(日)

林介文(リン・ジェーウェン/ラバイ・イヨン)

LIN Gieh-Wen / Labay Eyong

≪解縄(ときなわ)≫2020年

撮影:デルフィン・パロディ

我解開粗繩
那些沾滿時間與力量的繩
污漬不斷掉落
此時我正朝著合解的方向
遇見你~

我的曾曾祖父是日本人,他在我的家族裡如同一個不存在的隱形人。歷史在我的血液裡藏了一道疤,卻也給了我生命。
我透過藝術與勞動製造合解,隨然恨意早已變的模糊。解繩這件作品透過反覆的動做破壞後再重組,最後將不同地方(台灣 日本)與不同時間(過去 現在)的物件扭在一起,最後還原出一個繩結的模樣。如同古老的繩結記事,記載了家族的歷史,也如同一場儀式,告知祖先我知道你的存在。
―林介文

粗縄(ロープ)をほどく
時間と力に満ちた縄を
汚れは落ち続け、
私の中のわだかまりは解けていく
そしてあなたに会うのだ

私の曾曾祖父は日本人だ。家族の中で存在感はない。歴史は私の血の中にその傷を残し、そして命をくれた。

私は芸術としての労働を通してそのわだかまりを解く。憎む気持ちはぼやける。破壊と再編成を繰り返し、最後には違う場所(台湾と日本)や違う時間(過去と現在)でオブジェクトをひねり、結び目を復元する。それは、古代の結縄(けつじょう:縄の結び方で意思を通じ合い、記憶の便りとしたこと)のように、あなたの存在を知っていることを伝え、家族の歴史を記録する儀式のようなものだ。
―林介文(リン・ジェ―ウェン/ラバイ・イヨン)

林介文(リン・ジェ―ウェン/ラバイ・イヨン)は台湾原住民の太魯閣(トゥルク)族の一員として、伝統的な織物の技法を用いながら、彫刻的なインスタレーションを手掛けています。時にコミュニティの織り手たちと協働しながら、女性の身体性やアイデンティティーを問うアーティストです。かつて日本は台湾を統治し(1895-1945年)、日本から多数の人々が移住して植民地としての近代的整備を行い、彼らの土地や言語、文化を奪った歴史があります。

新型コロナウイルス感染症の流行により、残念ながら作家が来日しての作品設営が、現在叶っていません。しかしラバイは今年2月に青森をリサーチに訪れた際、台湾原住民族の織りや編み物と形やあり方の類似が認められる青森の裂織や刺し子を目にして、その作られ方を知るとともに、ビニールシートや古着、漁業の網など、どこでも日常的に使用されているが、それぞれの国で普及しているデザインが異なる素材を持ち帰りました。自身の家族にも刻まれている、台湾と日本の関係。家族を見つめてきた鏡と、同じ時を刻んできた時計。人と人が行き交うことによって生じることは、時に歴史のような大きな流れによって翻弄されたり、その見られ方や解釈が変わってしまったり。ラバイは現代美術の作品制作を通して、物事の本質や自分の深い感情に向き合おうとするかのようです。

彼女がギャラリーBで展開を予定しているのは、文化財の中から古い時計や箪笥、えんつこ(ゆりかご)など、人の誕生や記憶と関わるものを選び、それを大きな彫刻のように配置し、そこに太魯閣の女性たちが伝統的に織っている布をかけるというアプローチです。生まれた時から、死を迎えるまで人を包み続ける布。様々な人の思いが織り込まれている布をかけることによって、今ここにある生の不思議やかけがえのなさを語りかけようとしているのかもしれません。

テキスト:慶野結香
中日翻訳:李淳益

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≪COVID-19≫2020年 撮影:デルフィン・パロディ