三瀬夏之介個展 「ぼくの神さま」

2013年4月27日(土)~6月23日(日)10:00~18:00/無料

青森公立大学国際芸術センター青森(ACAC)では、2013年の年間を通じたテーマを「交換 Exchange」とし、今年度最初の展覧会として三瀬夏之介個展「ぼくの神さま」を開催します。和紙の上に墨の濃淡によって描かれた作品や金箔を用いた山水画など、「日本画」を強く意識した作品を描く一方で、三瀬は「『日本画』とは何か?」を問い続けています。

そもそも「日本画」という言葉は、明治維新の際にヨーロッパから輸入された絵画(=洋画)に対し、それまで日本人が描いていた絵に名付けたられた新しい名称でした。それはいうなれば、別の文化と対峙した時に、初めて対象化された自分たちの文化であり、その様式についての認識でした。一方で日本の文化は海外から新しく様式が流入すると、旧来のものと名を分けたり、旧来のものを「伝統」に組み込むことを繰り返してきました。三瀬の作品にはしばしばこうした、ある文化と対峙した時に、それらが衝突し、再構成されていくようなイメージが見られます。

一見伝統的な日本画に見えるその画面には、しばしば三瀬が生活している場所(奈良、山形)や現代的、時事的なモチーフのほか、彼の絵画の探求で関心を持った様々なモチーフや大仏や日の丸といったステレオタイプのモチーフが現れています。それらは増殖的に結合し、現在性を秘めた大きなイメージを作り上げていきます。

今回のタイトル「ぼくの神さま」は、必ずしも宗教的な神さまを指してはいるのではありません。私たちは生きている世界の不安定さに繰り返し直面しています。「ぼくの神さま」は、この不安定な世界で生きていくために必要な信じられる何か――たとえそれが幻想であったとしても――として、「神」というよりはむしろ信じるものの象徴として表されています。それは個の問題であり、社会の問題であり、画家の問題でもあるのでしょう。ここで描かれているのはそうした不安げにつながっている私たちの現実の中から立ちあがってこようとする何かなのかもしれません。

三瀬作品はしばしば過去作品が切り取られ、貼り付けられ、加筆されることで解体と増殖を繰り返していきます。今回は過去作品に加え、こうして再構成された作品や、滞在制作された新作を合わせて展示しています。巨大な作品は近づくと様々なモチーフが描かれています。絵巻物の中を歩き、それぞれの風景を発見するように、作品をお楽しみください。

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三瀬 夏之介

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1973年奈良生まれ。1999年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(日本画)修了。2012年第5回 東山魁夷記念日経日本画大賞展選考委員特別賞受賞。「日本画」を強く意識した作風で、錆を表現素材とした作品や、箔(金箔)を多用した風景の制作を経て、現在は墨を主に用いた表現に取り組んでいる。また2009年より「東北画は可能か?」というタイトルのもと、現在准教授をつとめる東北芸術工科大学にて、教育の一環あるいは日本画についての考察の一環として、東北における美術を考えるチュートリアル活動を行い、展覧会、レクチャー、ワークショップなどを行っている。主な展覧会は、2006年「MOTアニュアル 2006 No Border 「日本画」から/「日本画」へ」(東京都現代美術館/東京)、2009年「Kami. Silence – Action」(ドレスデン州立美術館/ドイツ)ほか。

ポートレート撮影:表恒匡

《空虚五度》雲肌麻紙、墨、胡粉、272×1456cm2012 ©MISE Natsunosuke, Courtesy of imura art gallery, photo: SENO Hiromi

 

《だから僕はこの一瞬を永遠のものにしてみせる》和紙に墨、胡粉、アクリル、インクジェットプリントのコラージュ、272×1456cm2010

©MISE Natsunosuke, Courtesy of imura art gallery, photo: SENO Hiromi

主  催:青森公立大学 国際芸術センター青森
協  力:イムラアートギャラリー、東北芸術工科大学