■ 2011年滞在制作展覧会のお知らせ
 
 
 【再考現学 / Re-Modernologio】pahse3:痕跡の風景
 
     
 

 

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アーティストの活動を媒介に、人間の生の痕跡を風景の中に見出す。

今年度国際芸術センター青森では、青森県出身の考現学者、今和次郎が提唱した「考現学」を年間を通じたキーワードとし、考現学的態度や視点をもつアーティストの活動を「再考現学」展として、ご紹介する展覧会を開催してきました。第3回目となる本展、「再考現学 phase 3:痕跡の風景」では、考現学を都市の中で人間の生活の痕跡を見つけ、観察し、記述することと捉えました。しかし当然のことながらこうして見つけたモノたちの消化の仕方、提示の仕方は、考現学者のそれとアーティストでは異なると思います。

再考現学的視点で世界を観察するということ、それは街の中にあるいは風景の中にある種の新鮮さを見つけることであり、そこには現代に対する鋭い視線、そして人間の活動についての深い関心があるということはいうまでもありません。それは着目した「何か」を媒介に今そこにある現実の実感のようなものを確かめることでもあるかもしれません。

一方着目された「何か」は、取り上げられることで別の何かを示唆し、別の現実を提示しうる可能性を持つでしょう。アーティストの場合、彼らはその着目した何かを作品としてもともとある文脈からずらした場所と仕方で提示することで、社会あるいは現実の見方を変化させる可能性を持ちうるといえるのではないでしょうか。そしてそれこそが単なる風景が人間の根源的かつ、やむことなく続き、抑えがたい欲望としての創造の起点となりえた事実、そしてそれを人間だけが昇華させえた「芸術」という形へと続く道筋の始まりのようなものであるのかもしれません。

本展で、アーティストが風景の中から見つけた人間の痕跡を、アーティストの活動を媒介に、再び作品として現れたものが提示されるでしょう。

 また同時開催として現在の青森での生活がベースとなっている方の写真作品による展覧会「ヴィジョン・オブ・アオモリ」を開催します。雪深いACACでの最後の「再考現学」展をお楽しみください。



※「考現学」とは:青森県出身の建築家今和次郎(1888−1973)が提唱した学問。現代の社会現象を場所・時間を定めて一斉に調査・研究し、世相や風俗を分析・解説しようとする学問。ドローイングを用いたフィールドワークを特徴とし、のちの生活学や風俗研究の先鞭となった。

■展覧会
2012年2月18日(土)〜3月25日(日) 10:00 - 18:00/無料

■参加アーティスト
佐々木愛(シュガーペインティング・ドローイング)
下道基行(写真・インスタレーション)
アマンダ・ベランタラ(サウンドアート)
ジュー・チュンリン(アニメーション)

 

>>プレスリリースはこちら

 

 

【関連イベント 】

★アーティストトーク&オープニング
2月18日(土)13:30 - 15:30/無料 
展覧会オープンを記念して全参加アーティストによるトークを開催します。制作について、作品についてのお話を伺います。
会場;展示棟ラウンジ(申込不要。直接会場にお越しください。)
アーティスト:
佐々木愛、下道基行、アマンダ・ベランタラ、ジュー・チュンリン

★同時開催
ヴィジョン・オブ・アオモリ vol.8 残雪のブルースー柿崎康写真展
2月18日(土)-3月25日(日)10:00 - 18:00/無料 
会場:展示棟ラウンジ
青森を拠点とし、制作活動を行う表現者を紹介する展覧会シリーズ。第8回目となる今回は、柿崎康さんの2006年に自費出版された写真集『残雪のブルース』よりシリーズ作品《残雪のブルース》をご紹介します。

★再考現学研究プログラムphase3
ワークショップ、レクチャー、パフォーマンスなどを通して、アーティストと一緒に現在の社会や生活のあり方と私たちの日常の文化について考えます。

1)ジュー・チュンリン
「スタジオ訪問!」※展覧会オープン1週間前です

2012年2月12日(日) 13:30 - 15:00
展覧会オープン間近のアーティストのスタジオではどんなことが行われているのか、遊びに行ってみませんか?制作の過程を見たら展覧会がもっと面白くなるはず!

対象:どなたでも
会場:展示棟ギャラリーB
料金:無料

2)佐々木愛版画ワークショップ
「大切な人に贈るオリジナルのメッセージカードをつくる」
2012年2月25、26日(土、日) 10:00-16:00
アクアチントの技法を使ってメッセージカードをつくりましょう。

対象:小学生以上
会場:創作棟ワークショップスタジオ
料金:1000円
定員:20名(要予約・先着順)

3)アマンダ・ベランタラ音ワークショップ
「キノコフォンを聞こう」
2012年3月3日(土) 13:30 - 15:00
世界中で集めた音と、青森で集めた音をみんなで聞いてみましょう。参加者の方には事前に音の録音をお願いする場合があります。

対象:どなたでも
会場:創作棟講義室
料金:無料

5)学芸員による鑑賞ツアー
3月4日(日)、3月11日(日) 15:00〜16:00
学芸員と一緒に展覧会を体験し、お話しながら作品についての理解を深める
※ご参加希望のツアーの開始時間までに、展示棟ギャラリーAの受付前に集合してください。

6)関連企画1 ★吉永晴彦版画ワークショップ
「なわばりステッカー」
2012年3月24日、25日(土、日) 10:00-16:00(1日完結、内容は両日同じです)
シルクスクリーンで自分のなわばりに貼るためのステッカーを作りましょう。

講師:吉永晴彦
対象:小学生以上
会場:創作棟ワークショップスタジオ
料金:500


7)関連企画2-1 ★ダンスワークショップ
「身体の風景」
2012年3月17、18日(土、日) 10:00-16:00
長内、平松両講師それぞれのダンスのスタイルを体験するワークショップの中から、両氏が今回のダンス公演のために作ったソロ・パートをもとに、それらを繋げ、混合融和させてゆくダンスを作っていきます。

講師:長内真理、平松み紀
会場:創作棟
料金:500円(DVD製作・発送費)

8)関連企画2-2 ★公開セッティング、リハーサル
2012年3月19日(月) 10:00-16:00
どのようにダンス公演がつくられてゆくのか、会場、照明、音響のセッティングから、リハーサルまでを公開します。

会場:青森公立大学交流ホール
料金:無料(申込不要、随時入場可)

9)関連企画2-3 ★ダンス公演
「身体の風景」
2012年3月20日(火・祝) 開場/14:30、開演/15:00、終演予定/16:00
長内、平松両氏とワークショップ参加者によるダンス公演。

出演:長内真理、平松み紀、ワークショップ参加者
会場:青森公立大学交流ホール
料金:無料


アーティストの日々の制作の様子はACACブログにて公開します。
http://acacaomori.exblog.jp/

 

↑柿崎康《残雪のブルース》


↑佐々木愛《モミの木》
240×300mm,アクアチント




↑吉永晴彦《ridge》
510×700mm、シルクスクリーン。2009



↑平松み紀

 

  【参加アーティスト紹介】
佐々木愛(SASAKI Ai)
 1976年大阪生まれ、大阪府在住。金沢美術工芸大学美術学部視覚デザイン専攻卒業、彩都IMI大学院スクール現代美術専攻修了。家、山、船、植物文などをモチーフとした砂糖によるウォール・ペインティング(壁画)で知られる。砂糖の白さ、素材としての意味を背負いながら、無数に繰り返されるパターン化された形の集積によって構成される図像は、それらが根源的に持っていた象徴的な意味と我々のそこに眠る深い記憶とのつながりを思い起こさせる。近年は銀色や白色の細かな線描によって繊細な風景を描き出す版画作品や、可視と不可視を揺れ動くようなドローイング作品、文学や物語の世界を喚起させる豊かな色彩の水彩画や油彩画を発表。それらの独特の世界が見る者に夢のような物語世界を紡ぎ出させている。ここ数年青森、韓国、ニュージーランド等のアーティストインレジデンスに積極的に参加し、滞在先の風景を元に新たな展開をみせている。2011年には比較文学者で詩人の管啓次郎の詩とともに水彩や油彩による色彩豊かな絵画を提示するプロジェクト、展覧会を開催している。
http://sasakiai.com/

 


photo: GOTO Takahiro(YUKAI)

 
《霧の中へ》ガラス面にロイヤルアイシング、2010年
主水書房

■下道基行(SHITAMICHI Motoyuki) 
1978年岡山県生まれ。2001年武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業。2003年東京綜合写真専門学校研究科中退。下道は国内外を移動/旅しながら、なんらかの人の行為が誘発する様々な風景を写真やテキストで捉え続けている。2005年には国内各地に散らばる戦争の遺構の現在の風景を収めた初写真集「戦争のかたち」を出版。その後、日本の外側に現存する鳥居を探し求め、かつての日本の国境線を描出するような≪torii≫のシリーズの制作を進めている。また、国内に散らばる祖父が描いた絵画を訪ね、その絵画がどのような人のいかなる空間に設置されているかを写真と持ち主の祖父の作品への回想で綴る≪日曜画家/Sunday painter≫や、広告で塔をつくり続ける人や毎日四文字熟語を描き続ける人など市井の名もなき創造性を発見し収集する≪Sunday creators≫などがある。近年はバイクで日本中を旅し、田畑の用水路をまたぐあぜ道に渡された板や、小さな段差を解消するために積まれたコンクリートブロックや木片などの必要から生み出された最小限の構造物を「橋」と捉え収集する≪bridge≫などのシリーズを展開している。日常生活における人の何気ない行為により生み出される風景を鋭い観察眼で発見し作品化している。
http://m-shitamichi.com/

 

 

 

 



 
シリーズ≪(Torii)≫、サイパン島(アメリカ)、2006年。

■アマンダ・ベランタラ (Amanda BELANTARA)
 1979年アメリカ出身、現在イギリス、マンチェスター在住。ドキュメンタリー映像作家。2002年コロラド大学ドイツ文学部卒業、2007年マンチェスター大学視覚人類学修了。映像人類学を修め民俗誌を視聴覚の観点から探求するベランタラは、人の振舞いから生じる様々な音に着目して映像や音響に関する作品を制作するアーティストとしても活動している。その代表作には、マンチェスター中央図書館を舞台に、図書館利用者が膨大な書籍の海から本を探し出す瞬間や、椅子に座って静かに本のページをめくる姿、司書が書籍を収集管理する様など、図書館内での日常的な人の行為により発せられる小さな音に耳を傾け、それを映像で捉えた作品≪Lifelibrary≫や、市民共同プロジェクトとして、ある地域の人々に日々耳にする音を記録する音の日記(サウンドダイアリー)をつけてもらい収集し、それらの音を様々なマイクを用いて映像で捉え、繋ぎ合わせて紡ぎ出した地域の音の風景(サウンドスケープ)による映像作品≪耳がきゅっとなる≫(秋吉台国際芸術村、2009)などがある。いずれも静寂のなかで多様な音の風景を、体験的に描出している。
http://www.amandabelantara.com/

 

 


 
≪王余魚沢の音たち≫、2011年
サウンドインスタレーション

■ジュー・チュンリン(JOO Choon Lin) 
 1984年シンガポール生まれ、現在イギリス、グラスゴー在住。南洋芸術学院卒業(シンガポール)。手描きのドローイングやステンシルなどの図柄や身の回りの日用品、手作りの風の模型やオブジェを使ったストップ・モーション・アニメーション(こまどりアニメーション)を制作。それらは街や作品が展示される場所の文脈を読み解き、その場所にある裂け目や汚れ、あるいはそこに置かれているものといった物理的要因のみならず、その場所の歴史や状況といった地域的特性を取り入れた場面を設定する。そこに彼女が作ったオブジェや彫刻、ドローイング、ステンシル、エッチングによって描かれた図像を重ねることで、現実と非現実が交差する架空の情景をアニメーション映像として作り上げる。その背景はしばしば映像作品と共にインスタレーションとして展示され、映像と現実の境界を曖昧にする。時には周囲の人々との協働によって舞台装置を作り上げ、2009年の福岡アジアトリエンナーレでは環境問題をテーマに子どもたちとのワークショップによって作り上げたジオラマを元にアニメーションを作成。≪愛知トリエンナーレ2010≫では繊維卸町である名古屋市長者町の周囲の街並みと作品が展示される古い会館の物理的特徴をうまく生かし、現実の背景の中で架空の怪物たちが動き回る空想的で愉快なアニメーションが制作された。
http://www.joochoonlin.com/

 

 


 
《凍らされた町の怪獣》
アニメーションフィルムインスタレーション
第1回愛知トリエンナーレ、2010

【関連イベント参加アーティスト】
■吉永晴彦 (YOSHINAGA Haruhiko)
1980年東京都生まれ。2005年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コース修了。(研究室賞)

[近年の主な個展]
2011 新潟絵屋/新潟
2010 「小品展」ギャラリーゴトウ/東京
2009 「treasures」ギャラリーゴトウ/東京
2008 ギャラリーなつか/東京
2007 「transparent obscurities」ギャラリーゴトウ/東京
[近年の主なグループ展]
2011 「第9回パワン国際版画ビエンナーレ」国立パワン美術館、インド(名
    誉表彰受賞)
    「アートフェア京都」ホテルモントレ京都/京都
2010 「ROUND 2010」ギャラリーなつか/東京
    「 あおもり国際版画トリエンナーレ2010」国際芸術センター青森/青森
2008 「Day by dayー新進版画家の現在ー」ギャラリーゴトウ/東京

■長内真理(OSANAI Mari)
1956年青森市生まれ在住。
渋谷玲子に師事。舞台芸術学院ミュージカル基礎科卒。モダンダンス、ジャズダンス、バレエ、太極拳、野口体操、津軽手踊り、ヒップホップを学ぶ。1994年より2007年まで毎年カナダ各地サンフランシスコのフリンジフェスティバルを訪れ公演。2007年バンクーバーインターナショナルダ ンスフェスティバル公演、県立美術館、長谷川孝冶構成、演出「アレコ」出演(Xing Bang Fu とのデュオ)。2005年から2011年ニューヨークCAVE、エドモントンmile zero dance、ウィニペグ大学、カルガリー大学、アルバータ大学(カナダ)、アテネ、テッサロニキ(ギリシャ)にてワークショップ、公演。2011年バンフ センターにてカナダ政府とバンフセンターの東日本震災を考慮した特別措置で滞在創作。現在上京の際は及川廣信に師事、青森市で野口体操を基本とし た体操教室で指導。ダンス愛好会DAWN代表。

■平松み紀(HIRAMATSU Miki)
1968年神奈川県に生まれる。水戸市在住。
4歳よりクラシックバレエを始める。バレエは身体に合わないと感じモダンダンスに興味を持つ。高校生より横浜の黒沢輝夫・下田栄子モダンダンススタジオに通い黒沢美香に出会う。1985年より黒沢美香&ダンサーズとして活動。黒沢美香の独特の動きに魅了され数々の作品に参加。即興で構成される作品でダンスを鍛えられる。
その後ソロ活動を開始。ライブハウスを中心に作品を発表する。
1996年より水戸芸術館のダンス企画「現代ダンスフェスティバルin MITO」のエルヴェ・ロブ作品「v.o」に参加。1997年より水戸芸術館専属舞踊家となり、水戸市民舞踊学校講師を務めながら自身の作品「鳥の歌」などを発表。館外活動では吉福敦子とのデュオ作品「solo×solo」を横浜STスポットで発表。
2009年よりフリーに。地域の公民館や幼稚園でダンスクラスを展開中。

 

 


↑吉永晴彦



↑長内真理


↑平松み紀

 

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■サポート活動について
・通訳(海外からのアーティストの通訳を行います) ・創作補助(リサーチや作品制作のお手伝い)
・イベント企画(交流パーティーなどの企画運営)、他

■参加条件など
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登録料:1,000円 (サポーターパス制作費、事務連絡費として)
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