■ 2011年滞在制作展覧会のお知らせ
 
 
 【再考現学 / Re-Modernologio】pahse1:衣食住から社会をまなざす
 
     
 

 

プログラムデータ |  交流プログラム |  参加アーティストと作品 |  NOW on A.I.R.


 

「考現学」を脱構築。
日常生活の拡張としての芸術をアーティストの活動を通じて再発見する。

 今年度ACACでは青森県出身の建築家今和次郎が提唱した「考現学」をキーワードに、現代の社会構造や生活文化、地域の日常生活と芸術の関係のあり方をアーティストの創作活動を通じて探求し再考する展覧会『再考現学』を2011年7〜9月、10〜12月、2012年1〜3月の3期に分けて開催いたします。今和次郎は関東大震災で焼け野原となった東京の平原に立ち上がったバラック建築に触発されて、ドローイングを用いた独自のフィールドワークを展開していき、後に現在の社会の状況を描出する手法として「考現学」を提唱し、実践していきました。現代美術をフィールドとするアーティストの多くは、私たちの日々の生活と密接に関わるものを素材とし、社会に問題提起をするように作品を制作しています。彼らは常に自身をとりまく環境を注意深く観察し、そのなかで様々な情報を収集整理し咀嚼したうえで、最終的に作品という形式で活動を展開していきます。
 第1期となる[phase1]では、「衣食住から社会をまなざす」というテーマのもと、身にまとう衣服を素材とし「装いの行為とコミュニケーションの関係性」を探求するように市民との協働により制作活動を実践してきた西尾美也、普段の生活の中であまり顧みられる事のないモノや行為、それらに付随する意味や価値観など日常の諸要素を音の体験という観点から読み替え、組み替える事を試みてきたmamoru、そして人の痕跡が残り記憶が詰め込まれた古書やその時代の時事問題などを伝える雑誌などのあらゆる書物を解体/再編集し、新たな彫刻作品として再構築する飯田竜太の3名を招聘し、滞在制作展覧会を開催いたします。
 大震災の発生により様々な問題に直面し、当たり前に過ごしてきた日常を再考しなければならなくなった現在の状況において、衣食住という生活の基盤をいま一度真摯に捉えなおしてみたいと思います。本事業では、アーティストの滞在制作活動を通じて、私たちの日常生活に潜むささやかだけれども豊かな創造性を描出し、芸術文化という観点から築く多様な価値観を内包することができる社会や生活像について熟考します。


※「考現学」とは:青森県出身の建築家今和次郎(1888−1973)が提唱した学問。現代の社会現象を場所・時間を定めて一斉に調査・研究し、世相や風俗を分析・解説しようとする学問。ドローイングを用いたフィールドワークを特徴とし、のちの生活学や風俗研究の先鞭となった。

■展覧会
2011723日(土)〜919日(月) 10:00 - 18:00/無料

■参加アーティスト
飯田竜太(いいだ・りゅうた/美術家/八戸)
西尾美也(にしお・よしなり/現代美術作家・西尾工作所代表/東京)
mamoru(まもる/サウンドアーティスト/大阪)

 

 

【関連イベント 】

★アーティストトーク
7月23日(土)
14:00 - 15:30/無料 
展覧会オープンを記念して全参加アーティストによるトークを開催します。考現学との関わり方や作品についておはなしします。
会場;展示棟ラウンジ(申込不要。直接会場にお越しください。)
アーティスト:飯田竜太、西尾美也、mamoru
モデレーター:服部浩之(プロジェクト担当学芸員)

★オープニングパーティ 
2011年7月23日(土)15:30 - 16:30/無料 
会場:創作棟ワークショップスタジオ(トーク終了後に直接会場にお越しください。)
軽食とソフトドリンクによるカジュアルな交流会です。どなたでもご参加いただけます。アーティストとの交流を気軽にお楽しみください。

★再考現学研究プログラム
ワークショップ、レクチャー、パフォーマンスなどを通して、アーティストと一緒に現在の社会や生活のあり方と私たちの日常の文化について考えます。

1)西尾美也公開制作(市民スタッフ&着なくなった古着随時大募集!)
2011年6月29日〜7月22日 10:00 - 19:00(毎日制作中です。いつでもご参加ください)
「服で遊ぶ」をキーワードに西尾さんやACACスタッフと一緒に作品や展覧会をつくりましょう。
[古着でつくるインスタレーション]各家庭で不要になった古着を大量に収集し、洋服をつくるパターンを採用しパッチワークをしたりボタンや袖などパーツ毎や柄毎に収集分類して、様々なインスタレーション作品を制作します。
[再考現研究会]「装い」の研究。集めた古着の観察調査、資料作成などなど。
詳細は017-764-5200またはacac-1@acac-aomori.jpまでお問い合わせください。
対象:洋服好き、アート好き、映像・写真愛好家などものづくりに興味があるすべての方(年齢・経験不問)
会場:展示棟ギャラリーAまたは創作棟ワークショップスタジオ
※お時間のあるときにご参加ください。一緒に作品をつくりましょう。

2)飯田竜太による作品共同制作&ワークショップ
[作品共同制作]:「一緒に作品をつくりましょう」
2011年7月10日(日)随時(コアタイム14:00 - 16:00)
絵はがきに書いた文字を切りぬいて作品をつくります。
対象:どなたでも
会場:創作棟ワークショップスタジオ
料金:無料
[ワークショップ]:「自分だけの文字をつくろう」
2011年8月21日(日) 14:00 - 16:00
夏休み最後の週末にワークショップを開催します。ひらがなを切ったり、貼ったりして、自分だけの文字をつくろう。
対象:4〜6歳児
定員:20名(申込先着順)
会場:創作棟ワークショップスタジオ
料金:無料

3)mamoruパフォーマンス&ワークショップ
2011年9月18日(日)14:00 − 15:30
「etude for everyday life / 日常のための練習曲」
日用品、飲食行為などを音作品として読み替えるetudeシリーズを体験いただけます。展覧会場を舞台に作品鑑賞のガイドともなるパフォーマンスのような時間。サランラップ、氷、紙、冷蔵庫、電子レンジ、本棚、食器棚、などの他愛もない普通のもの、電化製品、家具などを用いた作品に関連したワークショップです。
対象:どなたでも
定員:20名(申込先着順)
会場:展示棟ギャラリーB
料金:200円。

4)「再考現学」的風景の生成(建築×アート×再考現学トーク)
2011年7月31日(日) 14:00 - 16:00
スピーカー:下道基行(アーティスト/東京)
      蟻塚学(建築家/弘前・広島)
モデレーター:服部浩之(プロジェクト担当学芸員)

市井の人々の生活の延長線上で生み出される創作物を発掘・収集し、それを再編集することによる作品を制作している、まさに「考現学」の再考を実践しているアーティストの下道基行氏と、弘前にある自宅を「津軽の実験住宅」と命名し、素材の流通が少ない青森で、サンプルで取り寄せたり購入した様々な素材を自邸の家の床や壁面などにブリコラージュのように挿入して、それをクライアントへの見本貼のように提示するという独自の収集・公開法を実践している建築家の蟻塚学氏をお招きしてのトーク。彼らの他者を取り込むような編集的視点をもった活動を「再考現学」の観点から紹介します。
対象:どなたでも(※申込不要。直接会場においでください)
会場:展示棟ラウンジ
料金:無料

5)学芸員による鑑賞ツアー
「ギャラリーツアー」(8月14日、28日、9月3日)14:00 - 15:00
学芸員と一緒に展覧会を体験し、お話しながら作品についての理解を深める
「ファミリーツアー」(7月24日、8月13日、9月11日)14:00 - 15:00
お子様連れのお客様に展覧会を楽しんでいただくたのめツアーです。
「夕焼けツアー」(8月12日、20日)18:00 - 19:00
夕暮れ時のACACで展覧会と夕焼けをまとめて楽しんでみませんか?鑑賞ツアーは閉館後のギャラリーで行います。
※ご参加希望のツアーの開始時間までに、展示棟ギャラリーAの受付前に集合してください。

6)10代のためのACAC目からウロコプログラム
7月29日(金)13:00〜16:00
展覧会鑑賞、国際芸術センター青森(ACAC)裏側のぞき見ツアー、アーティストによるお話など、ACACをもっと知るための10代向けプログラム。
対象:中学生以上の10代
会場:国際芸術センター青森館内各所
料金:無料

アーティストの日々の制作の様子はACACブログにて公開します。
http://acacaomori.exblog.jp/

★青森公立大学情報
オープンキャンパス:2011年7月30日(土)
公立大学を端から端まで知ってもらうオープンキャンパスを開催します。受験生は必参加!

★「再考現学/Re-Modernologio」今後の招聘予定アーティスト
近日中に発表します。


↑西尾美也、フランスでの公開制作の様子



↑飯田竜太、ワークショップの様子


↑mamoru、《etude no.12 サランラップ》
サランラップの音を聴いてみる

 

  【参加アーティスト紹介】
飯田竜太 (IIDA Ryuta)
 1981年静岡県出身。2004年日本大学芸術学部美術学科彫刻コース卒。現在青森県八戸市在住。2009年より八戸短期大学常勤講師を勤める。自ら古書・貴重本の収集を行い、それを「彫る」ことで作品を表現する。2004年にグラフィック一坪展にてグランプリ受賞。以降も graf media gm での個展、岡本太郎現代芸術賞展、所沢ビエンナーレなど着実に活動を続ける。2010年には台湾の大規模アートフェス「VERY FUN PARK」に参加、注目を集める。国内でもComme de Garcon(コム・デ・ギャルソン)とAi WeieiのDMシリーズに作品が採用され、また新潮社出版にてトマス・ピンチョン全集発行に際し処女作「v.」の表紙を制作するなど、評価を得ている。
http://www.ryuta-iida.com/

 
川崎市岡本太郎美術館、2009年

■西尾美也 (NISHIO Yoshinari)  
1982年奈良県生まれ。2011年東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。美術博士。現在は東京とナイロビを拠点に活動する。
装いの行為とコミュニケーションの関係性に着目し、市民や学生との協働によるプロジェクトを国内外で展開している。代表的な プロジェクトに、世界のさまざまな都市で見ず知らずの通行人と衣服を交換する《Self Select》や、数十年前の家族写真を同じ場所、装い、メンバーで再現制作する《家族の制服》、世界各地の巨大な喪失物を古着のパッチワークで再建する 《Overall》、「言葉」からイメージした「形」を古着で作る《ことばのかたち工房》などがある。また、2009年に西尾工作所ナイロビ支部を設け、 アフリカでのオルタナティブなアートプロジェクトに着手している。2011年9月から文化庁芸術家在外研究員としてケニアのナイロビに2年間滞在予定。
http://yoshinarinishio.net/
http://www.nairobi-artproject.jp/

 


 
≪Overall:Ueno Daibutsu≫上野公園、2009年

■mamoru (mamoru[OKUNO Mamoru])
 1977年生まれ。大学卒業後、自作の音具や音響機材を用いて、間や、空間性を強く意識した様々な「響き」を即興的に組み上げてゆくサウンドパフォーマンスや、複数の独立した音源を複数のスピーカーを用い空間的に音像を造作するマルチソース・マルチチャンネル型のインスタレーション作品などを国内外のギャ ラリー、美術館、その他の場所で発表。
 近年は、日常品から得られる音、日常行為をもともとの用途から読み替える事で作品を生み出す「etude」 シリーズを主に展開中。2008年にモントリオール、ニューヨーク、大阪、東京でのパフォー マンスに加え、ケベック/カナダにてレジデンス、個展、パフォーマンス、レクチャーを、2009年はクレムス、ウィーン/オーストリア、レイデン/オラン ダにてワークショップ、展示、音楽フェス、アートフェスなどに参加。2011 年2月のACACワークショップシリーズ【日常の実践】では招聘アーティストとしてパフォーマンス&ワークショップ「etude for everyday life / 日常のための練習曲」を実施し、参加者とともに青森で発見した素材を用いて即興的に新たなetude作品をつくりだす試みを実践した。
http://www.afewnotes.com/


 
≪etude no.36 no.39_instantnoodle≫YUKA CONTEMPORARY、2011年

【ゲストトーカー】
■下道 基行(SHITAMICHI Motoyuki)
1978年岡山生まれ。幼い頃は考古学者にあこがれていた。美術大学卒業後、日本全国をバイクで巡り、戦時中に建てられた機能を失った遺構の現在を風景と共に撮影し、2005年には写真集『戦争のかたち』(リトルモア)として発表。現在は、その続編となるアジアの国々を巡るシリーズ〈torii〉、そして祖父が趣味で描いた絵の在処を探していくシリーズ〈日曜画家〉などを制作。風景に埋没していく記憶や人の営みに着目し、写真や文章やインスタレーション等で作品を作っている。
http://m-shitamichi.com/

■蟻塚 学(ARITSUKA Manabu)
1979年青森県弘前市生まれ。建築家。広島大学工学部建築学科を卒業後、三分一博志に師事し2008年に弘前と広島を拠点に蟻塚学建築設計事務所を設立。三分一のもとで培われた環境・地球という視点に加え、人の「生活」や「手」にふみこんだ思考を起点にすそ野の広い活動を行っている。「津軽の実験住宅」(2009)では実際に生活しながら素材を実験することで津軽における建築の可能性を広げることを模索し、第二回建築コンクールで受賞した「弘南鉄道プロジェクト」(2010)ではボランティアとの協働による地域貢献活動にデザインの知恵と工夫を盛り込み美しい駅舎をつくりあげた。現在弘前、青森、広島、熊本等の各地でプロジェクトが進行している。
http://www.aritsuka.com/


↑下道基行

 

アーティスト・イン・レジデンスプログラムのサポーターを募集しています!】

上記アーティストの滞在中、あなたも国際芸術センター青森サポーターとして、アーティストとの交流を深めながらスタッフの一員として活躍してみませんか?
■サポート活動について
・通訳(海外からのアーティストの通訳を行います) ・創作補助(リサーチや作品制作のお手伝い)
・イベント企画(交流パーティーなどの企画運営)、他

■参加条件など
サポーターは登録制です。また、登録にあたって、下記が必要になります。
登録料:1,000円 (サポーターパス制作費、事務連絡費として)
活動中のボランティア保険を事務局が負担します。サポーターの方へは、ACAC発行のカタログや定期刊行誌進呈などの特典があります。

■申し込み&お問い合わせ
国際芸術センター青森 acac-air@acac-aomori.jp

 

 
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