■ 2003年 春のアーティスト・イン・レジデンス(AIR)プログラム
 
 

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参加アーティストと作品

■ 栗田宏一 くりた・こういち

 1962年山梨県生まれ。1985年、舞踏による表現活動を始める。 1986年よりアジア、中南米、アフリカなど非西欧諸国を旅しながら、小石や土を覚書として採集。1993年より土の持つ色合いの 多様性に着目し、日本各地で土を採集し、それら数百種類の土を曼荼羅状に並べるインスタレーションを発表している。 各地で採集された土は、乾かされ、ふるいにかけられて、さらさらの状態にされる。すると一見同じような「土色」に見えた土から 桃、青、白、黄色、赤、緑などの色彩が鮮やかに姿を現す。栗田は、一連の行為から、あるいは土のもつ無限の色合いから、生命の 複雑な絡み合いの歴史や世界を、そして自分自身を見つめなおす。
  本展では、青森県全市町村を中心に日本各地から集められた1000種類以上の土を展示する。栗田によると青森にはさまざまな 場所からの流れが集約するという。南からの移動の終着点と北への移動の始点という交点。あるいは太平洋側からの流れと 日本海側の流れの交点。こうした太古縄文時代より受け継がれているいくつもの交点を持つ青森の歴史も表現されている。

<展示作品>
・「1089日本」(インスタレーション、土)

 青森県の土約200種を中心に、日本各地の土を1089種小山にし、曼荼羅上に並べたインスタレーション。 配列は、33×33になっており、京都の三十三間堂を連想させる。1000人の千手観音が1000本の手を持ってすべての人を救う。 1000という数は、仏教的には無限を表現している。並べ方は、ランダムなため、どこにどこの土地の土が在るかは、作家でもわからず、 その並びは、すべて偶然に任されている
 それぞれの土は、すべて違った色を持っているのと同時に、粒子の違いから、その山の形も微妙に異なり、また、光線の当たり 具合によってもその色が異なって見える。


■ 石岡豊美 いしおか・とよみ
 1948年青森県尾上町生まれ。青森市在住。1977年イタリア、ピエトラサンタで制作をする。同年岩手町石彫公園に作品を設置する。以降岩手町国際石彫シンポジウムに多数参加。 1988年よりAOMORI現代美術企画に参加。また1999年より青森市沢山地区に展開するアートフォーラム、沢山アート財産区企画に参加。中心的メンバーとして活躍する。
 青森ヒバや御影石を使い彫刻作品を制作する。木や石がもつ生の素材感やそれぞれの個性を生かし、自然と芸術の調和的な作品を作り上げる。本展では巨大生物の形骸のような巨大なヒバの抜根を用いた彫刻を制作。自然と芸術のバランスを巧みに使いながら、独特の有機的なフォルムを生かした作品を制作した。

<展示作品>
・「無題」(彫刻、青森ヒバ)

 樹齢数十年の青森ヒバの伐根(ばっこん)を使い、彫刻を制作しており、根つきの木は巨大生物の死骸のような複雑な自然の造形を持っている。作家はそれぞれの木が持つ独特のフォルムを生かし、その美しさを最大限に引き出すように作品を制作した。


■ Morgan O'Hara モーガン・オハラ

ニューヨーク在住。カリフォルニア大学で学ぶ。幼少時に両親と兵庫県西宮市に数年間滞在。各国の美術館、レジデンスで活躍。 すべての動きを生命の鼓動ととらえ、人間や自然といった周囲のあらゆる動きを鉛筆で追い、紙に定着させる。空間の中で時間とともに変化する不可視の、 そしてつかの間の存在である「動き」は、地震計のようなドローイングとして記録される。そしてオハラはさらにそこから作品を展開させる。本展では、同じレジデンス作家の制作する姿、 オフィスでのスタッフの動き、茶道の動きなどをドローイングに置き換えた作品を制作。さらに、鉛筆で描いた線を面のイメージヘ変換させたもの、来青以前より関心を抱いていた津軽 塗りの技法のひとつ「七子(ななこ)塗り」を施した平面作品などを制作。これらさまざまな作品群によって、滞在期間中のオハラの過ごした時間を集約した展示となっている。

<展示作品>
・「ライブ・トランスミッション:時間に基づくパフォーマンス=インスタレーションとしての注目とドローイング」(インスタレーション、鉛筆、紙、ペンキ、七子塗り)

 人々の動きを目から入れ、身体を通して、腕に伝達させ、それを線状のドローイングとして紙に記す。今回は、こうして描いたドローイングの外枠を形に落とし、それを塗りつぶして壁画を描いたり、七子塗りの板をレーザーカッターでその形にくり抜くなどした。


■ 黄成俊 ファン・ソンジュン

1958年ソウル生まれ。1985年嶺南(ヨンナム)大学校美術大学卒業。1998年サンフランシスコ・アートインスティテュート修了。韓国国立現代美術館、韓国国立近代美術館、ソウル市立美術館など、多くの展覧会に作品を出展。2001年永殷(ヨンウン)美術館にて個展を開催。廃棄された物が現代の「遺物」になりうるという認識がファンの制作の根底をなす。ファンはまず、自らがおかれた環境とじっくりと対話し、周囲の物が自らに語りかける言葉に耳をすませる。そしてその物質が体に刻み込んでいる独自の「言葉」を黒鉛、絵の具そしてローラーを利用して擦り取る。こうすることでファンは、物が語る言葉を読み取り、人工物と自然の多様な関係を提示する。
本展では、ACAC周囲の木々、身の回りのさまざまな物の表面を擦り取り、作品を制作した。擦り取って得られた文様は、それぞれの物の「言語」であり、ファンとの対話の結果でもある。

<展示作品>
・「痕跡から痕跡へ」(インスタレーション、廃材、キャンバス、木、油絵具)

 作品で使われているすべてのイメージは、ACACの周りにあるものからフロッタージュされた。フロッタージュとは、あるものの上に布をかぶせ、その上をインクでこすってものの表面を描きとる技法で、作家はあらゆるものの痕跡をこするとることで、そのものとの対話を試みようとしている。


■ Johannes Lenhart ヨハネス・レンハルト

1956年デュッセルドルフ生まれ。1974‐81年、デュッセルドルフ・クンストアカデミーで学ぶ。ボーゼン現代美術館、デュッセルドルフ市立美術館などの展覧会に多数参加。1995年大阪彫刻トリエンナーレに出展。ギャラリースペースを巨大作品で埋め尽くし、空間を再構成するような作品を作り出す。鑑賞者は作品の中に入りこむことにより、一つの彫刻を「見る」だけではなく、空間とともに体験することとなる。
 今回の作品は安藤忠雄が設計した独特のギャラリー空間から強い刺激を受けて制作された。作品は、その巨大さゆえに全貌を一箇所から確認することは不可能であるため、鑑賞者はさまざまな方向から作品を見ることとなる。ギャラリーのあらゆる方角からだけではなく、作品の中、ギャラリーの外から見える情報の統合体が作品となる。

<展示作品>
・「氷山の一角(山嶺の雪)」彫刻/インスタレーション、鉄パイプ、障子紙

 作品は、この安藤建築の独特なフォルムを生かし、そのフォルムを強く意識して制作された。タイトルの『snow on the peaks』は、あるロシアの科学者が、「科学が認識し、証明できるものは、全体のうちの一部でしかない。まさにsnow on the peaks(氷山の一角)である」といった言葉が、タイトルとしてつけられた。
 
 
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